介護中であるということを示し、周囲の理解を得るために考案された「介護マーク」の存在をご存じでしょうか。
最近は、マタニティマークを活用している方が少しずつ増えてきましたが、介護マークを活用している方はお見かけしたことがないため、つい最近、市の広報誌で目にするまで、私はその存在を知りませんでした。
介護マークが少しでも広がるよう願いを込め、紹介させていただきます。
介護マーク誕生のきっかけ
介護マーク誕生地は、静岡県。2011年(平成23年)4月から配布を開始したそうです。
平成21年7月に行った県主催の認知症介護家族者との意見交換会等で、介護家族から「認知症の人の介護は、外見では介護していることが分かりにくいため、誤解や偏見を持たれて困っている。介護中であることを表示するマークを作成してほしい。」という要望が寄せられました。
引用元: https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/koreifukushi/ikigai/1002917/1022521.html
こうした要望に応え、静岡県では、介護する方が介護中であることを周囲に理解していただくために、また、在宅介護者を支援する取組として、全国初の介護マークの作成をしました。
確かに、自宅外での介護は、周囲の方の理解が不可欠です。
特に、トイレ介助時や女性用下着などの購入時など、男性が女性の介護をする際に、ストレスが多いのではないかと、私は想像します。
さらに、認知症の方など、見た目では介護が必要だとはわからない方の介助も、周りの理解を得づらい。
事情を知らない人が、心ない言葉を介護者に投げつけることも、きっとあるはずです。
その都度、説明すればいいんです。いいんですが、それを繰り返していると、知らず知らずのうちに、心に澱のようなものが溜まり、心がとても重くなってしまったり、時にイライラしたりすることもある。
介護中であることをわかってもらうための、ささやかな発信が、介護マーク。
妊娠した瞬間から始まる子育て同様、介護もひとりじゃできないんですから。
マタニティマークも、周囲の理解を促すという趣旨で作られたものですので、介護マークの先輩に当たるのかもしれませんね。
介護マークの広がりと現状
介護マークは評判を呼び、この取り組みを全国に広めて欲しいという要望が、静岡県から厚労省に入ります。
2011年(平成23年) 12月、厚労省は全国へ「介護マークの普及について」という文書を、都道府県の担当部署に通達、そこから少しずつ全国へ介護マークが広がっていったのです。
介護マークは、マーク普及に取り組む県や市町村のホームページからダウンロードできます。
令和4年8月現在、10の県・500以上の市町村が普及に取り組んでいます。
介護する人、される人、双方を、誰もが何気なく見守り、必要な時は手を差し伸べるために、介護マークはもっと活用されるべきだと思います。
広く多くの人たちに周知されるといいですね。
ちなみに、介護マークの著作権は静岡県にありますが、データ利用に著作料は発生しません。
ただし、改変等は禁止です。