昨年(2021年)、偶然にこんな電話機を見つけました。
「ホムテル3G AK-010」という製品で、既に生産は終了しています。
製造元は、株式会社エイビットさん。
ものすごくざっくり言うと、固定電話機の形をした携帯電話。
電話機本体にSIMを差し込んで使うので、固定電話回線は不要です。
AK-010を使ってみた。
この電話機を知った瞬間、特に機械物に弱い高齢者にとっては、とてもいい製品だなあって思いました。実際に手に取ってみたくなって探したところ、ヤフオクで入手することができました。
コンセントにACアダプタを差し込み、電話機裏側にあるSIMカードスロットにカードを挿入、電話機背面にある電源スイッチを入れるだけ。
難しい設定は、全く必要ありません。
見た目や使い勝手は、市販されている固定電話機と、ほとんど変わりません。
留守電や電話帳の機能も付いているし、短縮ボタンに電話番号を3つまで登録できるので、よく使う番号を登録しておけば、ワンタッチで発信可能。
着信・受話・送話音量も簡単に変えられるので、耳の遠い方でも大丈夫。
AC電源の他、乾電池(単3乾電池4本)でも動作するので、一時的に固定電話が必要な時でも、屋外・屋内問わずに使えるので、便利。
格安回線のSIMカードを使えば、費用も抑えられます。
メーカーホームページに、接続確認済みの事業者名とサービス名の一覧が記載されていますが、かなり古い情報も含まれています。
メーカー推奨の代表格は、IIJmio(みおふぉん)のタイプDです。
私もIIJmioで試してみましたが、問題なく発着信できました。
デメリットは、3G回線のSIMしか使えないこと。
考慮しなければいけない問題点は、スマホ同様、電波状態です。
電波状態が悪いところでは、発着信ができない可能性があります。
何より一番の問題は、NTTドコモ系3G回線のSIM(Simサイズは標準SIM)が必要ということ。
3G回線は数年後に廃止される予定ですので、長期的に使用し続けることはできません。
auは、既に3G回線を終了。
ソフトバンクも、2024年に終了予定。
ドコモは、2026年まで継続するというリリースを出しています。
しかしその一方で、順次2GHz帯を停波し、800MHz帯のみに変更していくのだそうです。
この電話機は800MHz帯に対応しているので、当面は使えると思われます。
また、AK-010の仕様に、「FOMAプラスエリア(800MHz帯のみ利用できるFOMAのエリア)対応」というはっきりとした記載はありませんが、FOMAプラスエリア非対応機種に含まれていませんし、今日(2022年4月6日)現在、影響が想定される地域以外で使えているので、対応していると思われます。
不安要素はありますが、短期間の使用と割り切れば、維持費が安く済むので、便利に使えると思います。
時限措置だし、時代遅れだけれど。
正直なところ、AK-010は時代遅れの電話機です。
それに、使えなくなる時期は、既に決まっています。それに、3G回線の廃止が予定より早まる可能性も、ゼロではありません。
しかし、この電話機、実は中古市場では根強い人気があり、ヤフオクやメルカリでもよく取引が行われています。
個人的な意見ですが、人気の秘密は、すべてがとてもシンプルだからだと思います。
老人ホームなどの高齢者施設では、自室に電話回線を引くことができない場合が多いので、じいちゃんやばあちゃんに直接電話したい場合は、スマホを持ってもらう必要があります。
しかーし、スマホは、発信方法や電話の切り方、かかってきた電話への出方が、どうもわかりづらい。きちんと電話を切らず、つなぎっぱなしになる場合もある。
目が見えづらくなってくると、ボタンの押し間違いなども発生し、訳のわからない画面が出てきて、怖がる人も多い。
指の乾燥などで、スマホが反応しないこともある。
固定電話機は、スマホとは違い、用途も使用方法も、とてもシンプル。
使用用途は、電話を掛ける・電話を受ける。ただそれだけ。
電話を掛ける時は、受話器を取ってダイヤルし、用事が済んだら受話器を置く。
電話を受ける時は、受話器を取るだけ。
固定電話に慣れている人にとっては、スマホでの電話は敷居が高いのです。
電話をかける、受ける以外の機能は不要なのです。
AK-010に必要性を感じるのは、スマホの扱いに慣れていない「現在の高齢者」でしょう。
でも、シンプルに使えるこういった通信機器を必要とされる方は、時代が変わってもいらっしゃると思うんだけどなあ。4G回線で使えるAK-010を、単体で販売してほしいなあと思います。