介護エッセイを出版しました。
2004年から2009年まで更新していたブログ「今週のすぎやん」の内容を抜粋・修正し、ブログには書ききれなかった作者の思いや後日談なども新たに書き下ろしたエッセイ。

質問シートに答えるだけで日記になる「もくもくワクワク人生日記」。認知症予防に、人生の振り返りに。

記憶を思い出す人 介護経験談
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認知症の予防をはじめ、親子の会話や人生の振り返りにも活用できる書籍「もくもくワクワク人生日記」をご紹介します。

「回想法」に着目

認知症の療法のひとつに、「回想法」というのがあるそうです。

回想法 | 健康長寿ネット
回想法とは、昔の懐かしい写真や音楽、昔使っていた馴染み深い家庭用品などを見たり、触れたりしながら、昔の経験や思い出を語り合う一種の心理療法です。1960年代にアメリカの精神科医、ロバート・バトラー氏が提唱し、認知症の方へのアプロ―チとして注...

回想法とは、昔の懐かしい写真や音楽、昔使っていた馴染み深い家庭用品などを見たり、触れたりしながら、昔の経験や思い出を語り合う一種の心理療法です。1960年代にアメリカの精神科医、ロバート・バトラー氏が提唱し、認知症の方へのアプロ―チとして注目されています。

引用元:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/kaisou.html

この「回想法」に着目して刊行されたのが、「もくもくワクワク人生日記」です。
執筆者は、神経内科医の渡辺正樹さん。

名古屋市の神経内科 渡辺クリニック|認知症、動脈硬化、自律神経失調症
渡辺クリニックは名古屋市中区栄のエスエル医療グループにて内科・神経内科一般、認知症、動脈硬化、脳卒中、自律神経失調症の診療を行っております。

タイトルの「もくもくワクワク」というのは、大脳辺縁系に属す海馬と、意欲を高める前頭葉を活性化させるキーワード。

付属の解説書によると、無心で運動や塗り絵などの同じ作業を「もくもく」とこなすことは、脳(特に大脳辺縁系)のストレスを減らして神経細胞を守り、課題や目標をやり遂げたり、褒めてもらったりして「ワクワク」すれば、脳内に意欲や気力を高めるホルモン「ドパミン」が分泌され、脳の活性化が期待できるのだそうです。

「もくもく」と昔を思い出し、日記を書いてその日を終える達成感で「ワクワク」する。

もくもくワクワク人生日記
質問シートと、日記の付け方とその効果の解説書がセットになっています。

100枚の質問シートには、過去を回想する様々な質問が書かれていて、それに答えることで、日記となっていきます。

もくもくワクワク人生日記

質問シートは、1枚1枚簡単に切り離せるので書きやすいですし、その日の自分の気分や体調に応じて、書きやすいシートを選ぶこともできます。

シート左横には、あらかじめ綴じ穴も開けられているので、書き終わったシートをファイルに綴じれば、立派な自分史のできあがり。

たとえ親御さんご自身での記入ができない場合でも、お子さんが親御さんの話を聞き取って、質問シートに記入するという使い方もできそうだなと思いました。

父も回想法で脳トレしていた。

私の父は年齢が上がるにつれて、忘れっぽくなりました。短時間で同じ話を何度も繰り返すこともありましたし、ほんの2~30分前に食べた食事のメニューを忘れるなんて、しょっちゅうです。

認知症に関する検査はしていませんでしたが、直前の記憶を載せられる棚の大きさが、どんどん小さくなっていたことは確かでしたので、認知症寸前だったのかもしれません。

しかし、過去のできごとの記憶力はすさまじかった。話し好きだったので、若い頃の話をよく聞かされたものです。
父の回想は、どれもやんちゃなものでした。私が産まれる前の話については、真偽は定かではありませんが、臨場感たっぷりで、いつ聞いても内容にブレがなかったので、概ね真実なんだろうなと思えました。

私が小中学生の頃までは、父は家庭内をたびたびかき乱し、人様にかなりご迷惑をおかけしたこともありました。母と私がつらい思いをしているのに、本人は罪の意識ゼロ。

当時のことを悪びれることなく、父は誰にでも堂々と話すので、はらわたが煮えくり返る私。
しかし、昔のことを話す父の表情は、いつもとてもいきいきしてました。

激高しやすく、情緒不安定な時もありましたが、私や老人ホームの若いスタッフとたくさん話すと、父は気持ちが安定するようでした。

とにかく同じ話が多いし、恥ずべき武勇伝を誰にでも話すので、辟易したこともありましたが、「回想」が父の立派な脳トレになっていたんだ、あの時間は無駄じゃなかったんだなって、今は思います。

私にとっても、回想を聞くことで、父のあるがままを受け入れられるようになったと思います。

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