介護エッセイを発売中。
2004年から2009年まで更新していたブログ「今週のすぎやん」の内容を抜粋・修正し、ブログには書ききれなかった作者の思いや後日談なども新たに書き下ろしたエッセイ。

スプーンで食べられる、国産もち米粉を使用したおもち「スプーンで食べるおもち」

嚥下障害 介護用品
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国産もち米粉を使用し、スプーンで噛まずに食べられるおもち「スプーンで食べるおもち」をご紹介します。
アサヒグループ食品の製品で、介護食「バランス献立」ブランドの「やわらか食」シリーズのひとつです。

「スプーンで食べるおもち」は、もち米粉を使用しているとはいえ、お餅らしさを再現したもので、純粋なお餅ではありません。普通のお餅のようにのびませんし、べたつきもないので、スプーンでカットして食べられます。
ユニバーサルデザインフードの介護食区分は「かまなくてよい」なので、噛まずに飲み込んでも大丈夫。

きな粉や砂糖しょうゆをかけたり、汁物をかけたりして食べられる他、メーカーサイトにはアレンジレシピも掲載されています。

毎年お正月になると、ご高齢の方がお餅を喉に詰まらせるという悲しいニュースが、必ずと言っていいほど報道されます。
飲み込む力が衰えているのに、なぜお餅を食べるのかと、不思議に思われる方もいらっしゃるでしょう。

でもねえ、若い方たちが想像している以上に、餅好きな高齢者って多いんですよ。
特にお正月のお餅へのこだわり、特別感は、本当に特別なものだったんです。昭和の時代は、一般家庭の年末恒例行事の中に「餅つき」がありましたもん。

だから、食べたいんです。特に男性は、餅の前では我を忘れるんです。

私の父もお餅が大好きで、お正月前になると「正月に、餅、食うんか」と必ず質問されました。
老人ホームでお正月に供される、小さくカットしたお餅が入ったお雑煮に、「こんなもん、餅とちゃう。食えるか!」と、ブツブツ文句を言ってました。

全ての歯を抜歯していた父に、普通のお餅を食べてもらうことはできません。
それでも、こんなに好きな餅を食べさせてやれたらなあって、お正月になるたびに思っていました。

「スプーンで食べるおもち」は純粋なお餅ではないけれど、お餅を食べたい要介護者、お餅を食べさせてあげたい介護者、双方の願いをほんの少しだけ叶えてくれる商品だと思えます。

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