昭和時代をクイズで振り返ることができ、ご高齢の方との会話がはずむきっかけにも使えそうな本「会話に花が咲く クイズ 昭和物語」をご紹介します。
著者は、施設看護師で、医療や介護の相談活動もされている、安部満さんです。
脳の前頭前野を鍛えるクイズの数々が収録されていますが、クイズの内容はタイトル通り、昭和時代に関すること。昭和時代のまっただ中を生きてこられた方なら、答えられるものばかりだそうです。
施設内でのレクリエーションとしても、活用できるのではないかなと思います。
特に昭和から平成は、テクノロジーの発展で急激に世の中が変化し、常識や価値観も大きく変わった時期です。
だから、ほんの少しの世代の違いでも、世代間交流が難しいことがある。まして、若者と高齢者なら、さらに大変。
でも、クイズという形なら、両者の垣根を低くしやすいのではないかなあ。
高齢者は頭の体操になるし、そこから派生して話題が広がるかもしれない。
若い人は、昭和時代の新たな知識だけでなく、相手の人生の一部を垣間見るきっかけにもできるような気がします。
父とのクイズ
クイズで思い出したのですが、私も父に、クイズ形式でよく問いかけていました。
例えば、入院時に乗っていった車は?とか、入院した病院の名前は?とか、お世話になっている医師の名前は?とか、身近な人や出来事をネタに使うことが多かったのですが、時には番外編もあります。
番外編の中で一番記憶に残っているのが「信長・秀吉・光秀・家康」に関するクイズ。
確か新聞のテレビ欄がきっかけだったと思うのですが、突然「敵は本能寺にあり」と言い出した父。
でも次第に、信長・秀吉・光秀・家康の区別が付かなくなってしまい、話がむちゃくちゃになったので、私がクイズを発動。
「本能寺で死んだん、誰?」
「信長」
「信長を本能寺で討ったんは?」
「猿や。草履取りをしとったんや」
「それは、秀吉やん」
「信長を討ったのは秀吉で、秀吉は草履取りをしていた」は、以後2~3回繰り返され、正解を引っ張り出すのに苦労した娘。
「・・・光秀か」
「正解。なら、光秀を討ったんは?」
「・・・信長」
「信長、光秀に殺されたんやろ」
「そうか、ええっと、誰やったかな」
今度は「秀吉」が思い出せず、「信長を討ったのは光秀、光秀を討ったのは信長」という無限ループに陥ってしまいました。
聞いているとおもしろいんですが、クイズが終わらないので、質問変更。
「じゃあ、江戸の初代将軍は?」
「・・・家光」
「それは三代将軍。えらい飛んでしもうたな」
「ええっと、吉宗・・・は違うか」
「それは八代将軍」
「吉宗は、松平(健さん)やな。座頭市は勝新(勝新太郎さん)や」
時代劇の方向に話はそれたままで、結局、家康の名前は出ず。
それでもこんなささいなクイズで、会話が続くし、楽しい時間が過ごせるものです。