少し前の新聞記事です。


十数年前、私は介護保険請求ソフトへのデータ入力作業をしていた時期がありました。
作業場所は、居宅介護支援事業所が併設されている、訪問介護事業所でした。
一仕事終えて帰ってきたホームヘルパーさん(訪問介護員、以下、ヘルパーさんと記載します)、これから利用者さんのお宅へ向かうヘルパーさんが出入りし、所内では様々な情報交換がなされていました。
契約に入っていない作業を強要されたとか、買い物への同行支援中に喫茶店へ入ろうと誘われたなど、様々な利用者さんについての話が聞こえてきましたが、時折登場するのが、セクハラ話。
訪問すると、外にも聞こえるくらいにボリュームを上げ、Hなビデオをテレビで流し、一緒に見ようと誘われる。自分は仕事で訪問しているだけなのに、ご近所から変な目で見られるのではないかと不安だ。
利用者から、『若い女の子(のヘルパー)を頼む』と言われた。
私が訪問していた事業所に所属していたヘルパーさんは、全員女性でしたが、「それは契約には入ってません」「そのようなことは行っておりません」と、たとえ利用者さんであろうと、厳しくぴしゃりと言える人もいましたが、言えずにおろおろしてしまうヘルパーさんだって、当然おられます。
情報交換の中で、全員でシェアすべきトラブル事例が話題に上ったときは、ケアマネージャーさんも交え、対処方法などを一緒に考え、話し合いをしていることもありました。
今思えば、風通しのいい事業所だったのでしょう。ヘルパーさんも安心して働けていたんじゃないかなあ。
特にヘルパーさんは、ひとりで利用者さんのお宅へ訪問して作業することが多いので、利用者さんとふたりっきりになる確率が高い。
何をされても言われても、その瞬間は、自分一人で毅然と受け止めないといけない。
介護業界の人材不足の大きな原因は、賃金が低いからであるとよく言われますが、このハラスメント問題も大きな原因のひとつじゃないかなと、個人的には思います。
介護の仕事は、確かに厳しいですが、人間にしかできないことも多い、やりがいのある現場だと思います。
だからこそ、そこで働く人たちが、誇りと生きがいを持って働けるようになってほしいと、切に願います。
ちなみに、国もこういうハラスメントの存在を把握しており、対策マニュアルを作成しています。
事例集も掲載されているので目を通したのですが、やっぱりセクハラが多いですね・・・。